中小企業診断士を目指すブログ

中小企業診断士受験生の備忘録です。あと日々の雑記など。

競争戦略(競争優位と競争回避)

この分野の設問は答えを見ても「本当か?」と思うものがあるが、出題者の意図はおそらくマイケルポーターの「競争の戦略」を理解しているかを問うているのだろう。なので自分としては不思議に思ってもポーターがそう言っていれば正解なのである。なんて言ったてポーターなんだから。

 

コストリーダーシップ戦略とは大量生産による「規模の経済性」の追求による低コスト実現にある。ところでこれは「経験効果」とは違う概念らしい。経験効果は累積生産量が増えると生じるコスト低減なので、必ずしも大量生産とイコールなわけではない。過去問をやっていて見事に間違えてしまった。なるほど、勉強になる。

 

防衛戦略は自分は知識的にあまり馴染みがないのでちゃんと覚えておきたい。ポーターの防衛戦略は4つの要素から成り立つ。①構造的障壁を高める、②報復見込みを高める、③攻撃中の報復(告訴など)、④攻撃の誘因をなくす。最後の④はどういう例があるかはいまひとつイメージできないが、ここはゲーム理論なんだろうと思う。

 

タイムベース戦略の単元は自分的にはずっと重厚長大産業にいるので馴染みがない。スターバックスの競争力は実は出店スピードの速さによる市場規模の獲得にあるらしい。セブンイレブンも似たようなものだろうか。

 

タイムベース戦略はBCGが1980年代に発案したらしい。時間を最重要希少資源と捉えると市場にサービスや製品を提供できるリードタイムが短い企業の方が売上の増大やブランドイメージを構築できるらしい。

 

競争戦略と銘打っているが本質的には企業の独自性を磨け、ということなので生き残り戦略である。攻めれば競争優位性になるし、守れば競争回避性になる。

 

勉強していて思うのだけど、これは企業だけでなく個々人も同じだなと思う。生まれ持った才能や適正に差があるのは当然なので、取るべき戦略は相手と同じ土俵で戦うことより、如何に自分の適正にあった有利な土俵(例えば職業とか)を見つけるか、如何に自分の不得意分野が露呈しない生き方をするかの方が大切なんだろう。他人と比べたり、他人と競争しない方が良い。

 

 

競争の戦略

競争の戦略

 

 

 

 

 

PPM、SBU

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM, product portfolio matrix)である。別名でBoston Boxなどという呼び名もあるらしい。恰好良い。

 

ポイントは「相対的市場占有率」と「市場成長率」の2軸から各製品・事業の市場ポジションを評価することで、経営資源の最適化と個々の製品・事業の目標設定を行うことになる。有名なやつです。

 

マトリックスの中身は「花形事業」、「問題児」、「金のなる木」、「負け犬」だが、縦に「花金」(死語ですかね・・・)と覚えることにした。金のなる木の隣は負け犬だから必然的に問題児の位置が決まる。

 

 

理論の前提条件は①マーケットシェア(コストリーダーシップ戦略)、②経験曲線効果(Experience Curve Effect)、③製品ライフサイクル理論の3つ。

 

①と③は理解できるが、②はなぜ理論的前提条件なのかいまひとつ理解しにくい。相当大量消費するコンシューマ市場なら経験曲線効果は生じるような気がするけれど、中小企業で「経験曲線効果」が生じるほどの大規模生産品ってちょっと自分の働いてきた環境とキャリアでは想像しにくい。

 

SBUとは、Strategic Business Unitの略で、企業戦略を実現する上で、独自の競合と顧客が存在するために各事業部門の戦略面の調整を図る目的で設けられる事業の集合体、もしくはそのような組織のことを指す。事業部やカンパニー制をイメージすればよいか。

 

 実は、20代のころ、某官公庁と仕事をしている時に見積したところ「この規模ならば、経験効果が生じるのでもっと値下げできるのでは?」と言われていたことがあった。いやいや、年間1つ納入ですよ。5年で5つ納入。「経験効果など生じるわけないだろう。」と今なら言い返せるが、当時はそんなこと言えなかったな。

M&A、戦略的提携

ニュースなどでもよく聞く分野なので一般常識でだいたい回答できそう。アライアンス、戦略的提携はゆるい連携、M&Aは組織統合を伴う強固な合併。

 

効果は規模の経済性と範囲の経済性の発揮。規模の経済性とは企業が生産規模を拡大していけば生産物の単位あたり平均生産コストが低減することを言う。規模の経済が生じる理由は調達量の増加によるコスト低減、生産規模が増大しても必要な労働力や固定費が同じ比率とどまること、経験曲線効果によるもの。範囲の経済とは経営資源の多重利用化のこと。

 

M&Aの分野は海外の経営理論なので横文字が多い。以下は個人的に覚えにくい。

 

MBO 現在の経営者、事業部門責任者が外部投資家から資金調達を得て企業株式を買収すること。

 

■MBI 投資会社やベンチャーキャピタルが経営権を取得してからマネジメントチームを送り、経営に参画する手法。

 

グリーンメーラー ドルの色(緑)と脅迫状(ブラックメール)の合成語。ターゲット企業の株を買い占めてからターゲット企業に高値の買収を要求する手法。

 

小西美術工藝社のデービット・アトキンソン社長が仰られている中小企業の統廃合推進とは①日本に中小企業が多いということは範囲の経済性、規模の経済性がそれだけ損なわれているということ、②つまり内閣府は「中小企業は、日本の企業数の 99.7%を占め、約5割の付加価値額を創造している。」としているのでGDP中の約300兆円の経済範囲(中小企業)で範囲の経済性、規模の経済性が失われているということだろう。

 

まさしく「生産性(productivity)」の議論であって、両面コピーをしましょうとか、昼休みは電気を消しましょうなどが生産性だと誤解される、われわれ日本企業が海外メーカーに時価総額でもROEでも負けるわけである。

 

要すれば日本企業はアンゾフの多角化マトリックスの新規成長分野への参入も、経営統合による範囲の経済性も規模の経済性の追求も、この三十年間できてこなかったということか。縮小均衡である。残念すぎる。

 

この分野(中小企業のM&A)は将来性がありそうだし、面白ろそうなので、診断士になったら積極的に携わってみたい分野だ。ただうちの奥さん(銀行員)が言うには「銀行の中の中小企業のM&A部隊は業務量過多で死にかけてる人が多い」らしい。

 

 

 

 

 

成長戦略、多角化

この単元はアンゾフのマトリックスと範囲の経済性、あとは企業側が多角化に向かう内的要因と外的要因の動機付けくらいか。

 

多角化とか選択と集中が大事とか言うけれど、企業の中にいると仕事のない余剰社員はけっこういる。大企業だと2割〜3割くらいは働いていないのではないか。けっこうな人件費だろう。

 

おそらく日本経済の停滞の一因は雇用流動性が低いことで、人件費を含む経営資源を新規事業に引当てできなかったこともあるだろう。博士や修士を活用できていないこともあるし、経営層が不勉強というのもあるだろうけど。

 

そうすると既存市場が凹んだときに市場の深堀や新規事業の開拓がまったくできていないということになる。ここ三十年くらいの新規事業とはITであるから、ITを基軸とした新規事業の開拓に乗り遅れたことで、既存市場を含むマーケットの縮小に耐えきれなかったということだろうか。マーケットの縮小とは人口減だと思う。

ドメインの決定

企業ドメインと事業ドメインの区別が大切。

 

エーベルの三次元事業定義モデルは「顧客層」「顧客機能」「技術」の3つの軸によりドメインを設定するという考え方であり、ドメイン定義の代表的な方法。

 

エーベルのところは三次元事業定義とかもったいつけている感じがするけどもう少し簡単に言ってほしいなと思う。覚えにくい。

 

ドメイン決定で思ったのはパナソニックが業績不振というか成長軌道が描けずに苦しんでいるけれど、もしかしてドメイン決定がうまくいっていないのではないかと思う。「暮らしアップデート業」というコピーを出していたけど、ドメインとして捉えると曖昧だよね。広すぎてドメイン領域が定まっていないように感じる。ただ現行の事業ドメインに手をつけずに企業ドメインをいまっぽく定義すると「暮らしアップデート業」みたいな感じになったのかもしれない。ネーミングは経営企画部門か広告会社にぶん投げたんだろうけど、考えさせられた方もなかなか大変だったと思う。

 

個人的にはパナソニックの例で言えばリストラが先なんじゃないかなと思う。膨れ上がった事業領域を整理して、売却して、本体に残す事業と他社に転売する事業、完全にたたむ事業を区別しないと企業ドメインの設定ができない。企業戦略として参考にするなら日立じゃないだろうか。ただパナソニックの経営陣と労組がリストラに耐えるかというとどっちもあやしいけれど。日立はそのあたりどうやって攻略したのだろうか。