中小企業診断士を目指すブログ

中小企業診断士受験生の備忘録です。あと日々の雑記など。

組織の構成原理

ここはあまりにも常識的な分野なので初歩的な問題は出ないだろう。出題されるならば組織に構成原理に関する諸理論となるが、各理論と対策が煩雑とした分野であり整理がややこしい。

 

バーナード、ファヨール、ガルブレイズあたりは抑えておきたい。いずれもキーワードは「情報(量)の処理」である。あとはアレンとメイヤーの3要素説等。

 

バーナードの組織論は①明確で理解しやすいこと、②中継経路が多すぎないこと、③情報源、経路が明確であること、が重要であるとされるが、やや古典的だろうか。

 

ファヨールの組織論はより具体的であり、①専門家の原則=専門化すればするほど習熟度がまし、成果を上げやすくなる、②権限・責任一致の原則=職務遂行に必要な権限と責任は一致しなくてはならない、③特性範囲の原則(スパンオブコントロール)=1人のマネージャーが見れる部下の人数には制限がある=対策として業務の標準化・マニュアル化と権限委譲を上げる、④命令一元化の原則=複数の上司をおいてはいけない、があげられる。

 

ここまではわかりやすいが、ガルブレイズの「情報処理システム論」は抽象度が一気にあがる。ひらたくは組織の対処すべき不確実性が増せばますほど、意思決定者と実行者の間でやりとりすべき情報量が増大する、という理論なのだが、なかなかスッと理解するには難しい。情報処理システム論で取るべき対策は大きくは(A)組織の情報処理能力の向上と(B)情報量そのものを減らす、ということになる。

 

(A)組織の情報処理能力の向上:

①横断的関係の構築を行い、組織の情報処理能力事態を向上させる。

ERPシステムに代表される情報処理システムを導入・改善し 、組織の情報処理能力事態を向上させる。

③ 規則を定めることで課題解決の方法を明確化し、組織の情報処理能力事態を向上させる。

 

(B)情報量そのものを減らす:

①多くの職能を備えた自己完結型の組織を作ることで、情報処理量そのものを軽減させる。

②調整的負荷資源(スラック)を作り出すことで情報処理量そのものを軽減させる。

 

あとアレンとメイヤーの3要素説は組織コミットメントは①感情的要素、②存続的要素(損得勘定)、③規範的要素の3つから構成させるとしたもの。

というくらいか。

 

基礎的な分野なので中小企業診断士の試験的にはどうだろうか。マニアックな問題も出そうな気がするがあまり拘泥してもしょうがないので、基礎的なところは確実に得点したい。

 

ところで自分は職業がら何百社という取引先を見てきたが、小規模な会社(いわゆる中小企業診)で組織の構成上、困難をかかえている、というところはあまり見たことがない。数十人~2百人くらいまでは全員顔見知りでコミュニケーションが取れるからだと思う。

 

ただ人数が500人~数千人くらいになると急に組織の構成上の課題を抱えている企業が増えてくるように思う。全員顔見知りでのコミュニケーションが取れなくなるからだと思っている。そしてこの単元で語られる組織面の機能を強化しないと、不具合を連発したり、いろいろとブラックなことが起きる。

 

バーナード、ファヨール、ガルブレイズの理論を組織的に実行しようとすると、①総務と人事の分離、②各々分野の専門性の強化、③社内人事・評価制度等の構築が必要なのだろうが、500人~数千人くらいの組織では売上や資本金は大企業だが、人事面や組織構成が「中小企業のまま」という会社を比較的よく見かける。売上規模でいうと売上2,000億円~5,000億円くらいまでこのような課題を抱えている会社を見かけるので、自分では勝手に「組織の5,000億円仮説」と呼んでいる。

 

会社法では資本金1億円を大企業と中小企業の区別にしているし、下請法では原則、資本金3億円が閾値だが、実は大企業かどうかは、「組織の構成原理」が専門化・体系化されているかどうかなのではないだろうか。