中小企業診断士を目指すブログ

中小企業診断士受験生の備忘録です。あと日々の雑記など。

モチベーション

この分野は試験的にも重要論点であるし、企業で実務をしていてもたしかに重要だと思う。ただ理論に百花繚乱の感があり、実務でも何が大事かよくわからないというのもマネージャーの本音ではないだろうか。それほどわけのわからないことを言う部下が多い。

 

実際に試験的にも理論が乱立しており、内容もよく似ているので区別がつきにくい。試験に出る理論は古典的なものも多いのではないだろうか。教育学、心理学、認知科学の分野だと思うが、メタ理論的なもので汎用的なものを2、3教えてほしい、というのが日本のマネージャーの本音だろう。

 

さて内容である。

 

(1)科学的管理法

提唱したのはテイラーで賃金と労働インセンティブが正比例するという「経済人モデル」を提唱したが労働阻外されて労働者のウケがよくなかった。労働疎外とは聞きなれない言葉だが、哲学用語で、要すれば主客逆転のことを意味しており、人間が主役のはずが労働性に人間が振り回される状況を指すらしい。

 

(2)人間関係論

実際は企業で働いているとわかる通り、現実はより複雑である。メイヤーとホーソンホーソン実験により労働物理的な条件よりも「見られている」と感じることで、劣っていると思われたくない心理から生産性が向上すると説明した。ホーソン実験(ホーソンじっけん、英: Hawthorne experiments)とは、シカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場において、1924年から1932年まで行われた一連の実験と調査である。ホーソン研究とも呼ばれるらしい。これは原典に当たってみないと不明瞭だが、年代的に製造現場を観察対象にしたもののように思う。現代のデスクワーカーに適用できるか検証してみたい気もする。ただリモートワークをしていて思うのだけど、確かに会社に出勤する方が部下のパフォーマンスもコミュニケーションの密度も高いように思う。意外と意味があるのかもしれない。

 

(3)マズローとマクレガーのXY理論は有名すぎるので割愛。

 

(4)動機付けと衛生理論

これは職務の満足要因(動機付け)と不満足要因(衛生要因)は異なるというハーズバーグの理論。不満足要因(衛生要因)は「職務不満」を防ぐ、という意味では管理者として対処をすべきであるが、これを充足させても、本質的な満足度は得られず、動機付けにはならないらしい。

 

これは若手の離職防止に効果的なような気がする。往々にして会社は外形的に整備できる衛生要因を充実させようとするが、若者は満足要因(動機付け)を求めているということではないだろうか。そして現代の若者は、我々の慣れ親しんだ承認と昇進の要件定義である「年功序列」制度では満足しない、ということなのだろう。勉強になる。ただ、多少の愚痴ながら若者の皆様に仕事の真理の一端を述べておくと、本質的な「満足要因(動機付け)」など人に求めるものではなくて、自分が働く中で自分でキャリアに意味づけをして自分で構築していかないと人生の苦節に耐えられるような価値観など作れないだろうに、と思う。

 

(5)ロックの目標設定理論

これは本人が納得しているのであれば、曖昧な目標より明確な目標の方が、難易度の低い目標よりも難易度の高い目標の方が結果としての業績が高くなる、という内容。また目標設定についてのフィードバックが大事。

 

これはその通りで、特にパートタイムの方や、自分より年上の部下のマネジメントに重要であると思う。

 

(6)ブルームの期待理論

ブルームが最初に提唱したモチベーション理論のひとつで、合理的な人にとって、「それをすることで得られる結果への期待値」と、「その行為によって得られる報酬の魅力」によってモチベーションが決まるというもの、らしい。

 

(7)アダムズの公平理論

モチベーションや報酬に関する理論の1つ。 人は、「自分の仕事への取り組みと対価としての報酬」と、「他人の仕事への取り組みと対価としての報酬」を比較し、その内容に不公平を感じる場合、公平性を感じるような状態に近づく行動をとるように動機づけられるという理論。

 

  • 公平とは「自分の投入に対する報酬の比が、他者のそれと等しい場合」に存在する。尚、Inputは「努力、経験、学歴、能力」、Outputは「給与水準、賃上げ、表彰」等が挙げられる。
  • 自分(a)の投入Ia、自分が得た成果Oa、他者(b)の投入Ib、他者が得た報酬 Ob、とすると、以下のようなパターンが存在する。
    1. Oa/Ia = Ob/Ib 自分の投入量に対する出力の割合が、他者と同等で、公平な状態。
    2. Oa/Ia < Ob/Ib 自分の投入量に対する出力の割合が、他者より低く、不公平な状態。
    3. Oa/Ia > Ob/Ib 自分の投入量に対する出力の割合が、他者より高く、不公平な状態。

 2.3.のパターンの様に、均衡状態が崩れて、不公平さを感じると、その人は公平回復されたOa/Ia = Ob/Ibへと動機付けられる。

 

ということらしい。1965と古い論文なので、現実はこの通りとはいかないだろう。ただ他人の比較の中で、モチベーションが高低するのは事実だろうと思う。特に日本企業の場合は、仕事のできる人間に多量の仕事をぶん投げるので、これはハイパフォーマーの方は納得される理論ではないだろうか。

 

(8)マクレランドの達成欲求理論

従業員の行動の動機を「達成動機(欲求)」「親和動機(欲求)」「権力動機(欲求)」「回避動機(欲求)」の4つに分類。それぞれの動機が強い人の特徴は、以下のようになり、従業員の欲求や行動が、4つの動機のうちどの動機にもとづいているのかを理解する必要があるとするもの。

 

①達成動機(欲求)が強い人の特徴

⇒結果が分かりやすく数字に出る業務(営業やコストリダクションなど)

②親和動機(欲求)が強い人の特徴

⇒チームの構築や来客応対といった対人業務に向く。


③権力動機(欲求)が強い人の特徴
④回避動機(欲求)が強い人の特徴

 

はもろ刃の剣だと思うので向いている業務はメモしにくい。権力動機が強すぎて自爆しているマネージャーなど何人もいるし、回避動機(欲求)が強い人は、現実的にはそれが強味になることなどはぐれメタルに遭遇するくらいまれであり、反対に「どうやって仕事をしてもらうか」に腐心することが多いように思う。

 

ただこれは部下の管理理論としては非常にわかりやすい。

 

(9)アルダファーのERG理論

これは覚えにくい。マズローの欲求5段階説と類似しているが、これを発展的にとらえたものらしい。E・R・Gはそれぞれ以下を示す。

 

①Exstence(存在):存在の欲求
②Relatedness(関係性):人間関係の欲求
Growth(成長):成長の欲求

 


マズローは「低次な欲求から満たそうとする」と考えたのに対して、アルダファーは「低次欲求を満たしてなくても高次な欲求が活性化することがある」と主張したらしい。個人的にはマズローのモデルはモデリングをしているだけだり、アルダファーのERG理論はモデリングに至るプロセスを細分的に見ているだけのように思うので、これら2つの理論は相反するものではないだろう。

 

(10)ハックマンの職務特性モデル

以下の5つがモチベーション管理に重要だとする理論

①技能多様性:多数の異なる技能や才能の使用を含む多様な活動が職務に含まれる度合い
②タスク・アイデンティティ:仕事の全体やその一部であると確認しながら遂行することができる職務
③有意義性:職務が組織内あるいは顧客、社会に影響を与える度合い
④自律性:自らスケジューリングや、手順や方法を決める自由、独立性、最良の余地がある
⑤フィードバック:自分がどれだけ効果的に職務を遂行しているかを、職務を通じて得られる度合い

 

なるほどそうですか、と思う。

 

以上、モチベーション理論の主要論点だがとにかく数が多い。暗記しにくいので、過去問を解くことで出題パターンを抑え、得点力を上げる分野だと思う。